久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。ポイントだけを残していきます。
今回は線形代数入門 第4回(最終回)です。今回はテキストの第4章 行列の特性を引き出すです。一週間くらいで終わるかな、と思っていたんですが、やはり結構かかってしまいました。でもしっかり理解できた気がします。線形代数は解析学や統計学でも頻出する数学の道具なので、先にやる意味が強くあったと思います。ああ、他の科目もまだまだ控えてるんだなぁ…
教材
- First Book 線形代数がわかる
著者: 中村厚、戸田晃一
出版社: 技術評論社
発行日: 2010-9-25
ISBN: ISBN978-4-7741-4346-0
価格: C3041 ¥1780E
書籍サイト: 線形代数がわかる:書籍案内|技術評論社 (amazon)
学習範囲 (太文字の章節がこの記事の対象)
序章 プロローグ
ベクトルとは
線形代数の意味
行列と行列式
物理と線形代数
第1章 ベクトルとスカラー
1-1 ベクトルのすみか
1-2 ベクトルのスカラー倍、和と差
1-3 基底ベクトル
1-4 内積
1-5 外積
第2章 行列と連立一次方程式
2-1 行列とその演算
2-2 連立一次方程式とガウスの消去法
2-3 逆行列
2-4 逆行列がない!
第3章 行列式とその応用**
3-1 行列式って何?
3-2 行列式の仕組み
第4章 行列の特性を引き出す
4-1 固有値と固有ベクトル
4-2 対角化とは
行列の特性を引き出す
4-1 固有値と固有ベクトル
固有ベクトル、固有値
あるベクトルをある行列により変換したときに、方向が同じとなるベクトルをその行列の固有ベクトルという。またその行列で変換したときに変わるベクトルの大きさを固有値という。固有値の求め方
行列の固有値を、固有ベクトルをとする。固有ベクトルに行列をかけるとそのベクトルに固有値倍したベクトルとなるので
である。これより
これより
ここで
はこの連立方程式の自明な解であるが、ベクトルは固有ベクトルになりえないので、自明な解以外を探す。このとき連立方程式が自明な解以外をもつためのの条件は、の左辺の行列が非正則行列であること、すなわち逆行列がないこと(行列式が)こと。すなわち(1)より行列式を求める式は以下となり、これを固有方程式という。
ここでは下記方程式の解となる。
これはに関する2次方程式であり、虚数解を含む。解が虚数のときは固有ベクトルは平面では図示できない。
また重解を持つときは、固有ベクトルが0となる、すなわちどんなものでも固有ベクトルになる場合と、固有ベクトルが存在する場合がある。まとめ
行列の固有値は、固有方程式
の解である。それぞれの固有値に対して固有ベクトルの方向が定まり、
のように、行列は固有ベクトルの方向を向いたベクトルを倍する。
4-2 対角化とは
例)
行列
の固有値を求める。固有方程式より
また固有ベクトルは
にを代入し
のとき
のとき
よって固有値と固有ベクトルの関係は
となり、これを1つの式にまとめる。まず、固有ベクトルをならべた以下の行列を考える。
この行列にもとの行列Aを左から掛ける。
まとめると以下のようにかける (ここで登場する最後の項の行列が意味不明。どうやって作ったの?)
ここで、式をまとめるときの考え方の説明がなく、突然新しく数値の入った行列が登場する。なぜ新しい値の入った行列が出てくるのか意味をつかむことができない。
なお、線型代数[改訂版]|日本評論社のp.61-62にかけての説明を読むとやりたそうなことは理解できた。固有値を対角に並べた行列を対角行列といい、その解説を具体的な数字がはいった行列でしたかったようだ。しかしそのことも書いていないので、私のような入門レベルの読者は意味がつかめず、頭を悩ますことになった。何が入門なのか… Aくんがわからないのも当然だ。えーっと、そうですね、しか言ってなくって、せっかく最後なんだからちょっとはわかったことを言わせてあげてよ、とかおもっちゃう。
ここで、対角線上にのみ成分を持つ行列を対角行列という。
対角行列をとすると先の例
より
である。すなわち
である。ある行列を正則行列とその逆行列ではさんで変形することを、行列の相似変形という。また相似変形をして対角行列にすることを対角化という。
対角化の応用 フィボナッチ数列
フィボナッチ数列
以下の漸化式で定義される数列。番目のフィボナッチ数をとする。
行列によるフィボナッチ数の算出
フィボナッチ数列を作る漸化式と、式により行列を作成する。
ここで行列、ベクトルを
とすると
とかける。ここで
である。
を求めるため、を対角化する。固有方程式より
これより
である。(を黄金比という)
次にの固有ベクトルを求める。より
これより
よって固有ベクトルは
である。固有ベクトルをまとめた行列、対角行列をとして
より
ここで
よりの算出を簡易化するため、作成した対角行列を用いて計算する。具体的には
より
これより
となる。これよりは
ここでより
さて、ここでの極限値を求める。
よって
となる。十分大きいに対してはの項を無視することができ、
である。ベクトルの成分の比は十分大きなに対して
n × n行列の対角化
n次正方行列でも2次正方行列と同様に対角化ができることを説明している。
- まとめ 行列の対角化の手順
の固有値が全て相異なるものとするとき
- 固有方程式をとき、固有値を求める。
- 各固有値に対応した固有ベクトルを並べた行列を作る。
- の関係からとなる。は対角行列で、各成分はの固有値である。
気づいたこと、不具合、ご意見など、コメント待ってます!