2017年2月28日火曜日

高校数学 - 確率分布と統計的な推測

久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第13回は確率分布と統計です。

たしか高校生の頃、この範囲はとても苦手で何を言っているのか全然わかっていませんでした。そしてその後もあまりちゃんと理解することもなく、ここまでやってきたんですね。でも機械学習とか深層学習をやろうとすると、なんだか必須らしいです… まあ、当時も形式的に使えればなんとかなったんですが、今回はせっかく復習するんだし、ちゃんと理解してみたいと思います。しかし統計学がこんなにも実用的なものだとは…もっと早く知っておくべきでした。

なお、統計学は最強の学問、だそうですね。面白そうな本をリスナーさんに教えてもらったので、今度読んでみたいと思います。いろいろと忙しいなぁ(笑)

復習時に頭を悩ませたのは下記です。

  • 確率変数の1次式の平均
    教科書の例題と、期待値の求め方(期待値の定義)でなんとかクリア。
  • 二項分布
    なかなか二項分布が指す意味や、使い方が頭に染み込んできませんが、そういう問題を少し助けてくれるいい参考サイト 二項分布 - Minitab がありました。また基礎的な話としては 高校数学の復習からはじめる二項分布の導出 - 廿TT の記事もとっても良かったです。
  • みくねーさん!
    ミクの歌って覚える統計入門では初音ミクねーさんが、統計に取り憑かれたかのように、統計の歌を歌いまくっています! もうこれは全曲制覇するしかないっ! ってみくさんにとりつかれたのは私だね…

  • e (ネイピア数)
    いきなりネイピア数登場です。解説1行です。無理数、値、以上。はやく微積やろう…。

教材

  • 新編 数学B 平成26年度用

編者: 高橋陽一郎
出版社: 啓林館
発行日: 2013-12-10
ISBN: ISBN978-4-402-04576-6
価格: C4341 ¥00000E

第4章 確率分布と統計的な推測
第1節 確率分布
1. 確率変数と確率分布
2. 確率変数の平均
3. 確率変数の分散と標準偏差
4. 和の平均と分散
5. 二項分布
第2節 正規分布
1. 連続的な確率変数
2. 正規分布
第3節 統計的な推測
1. 母集団と標本
2. 推定

確率分布と統計的な推測

確率分布

確率変数と確率分布
  • 確率変数、確率分布

ある試行の結果に応じて値が決まる変数を確率変数という。また確率変数の取る値とその確率の対応関係を確率分布という。

一般に確率変数の値をとし、それぞれに対応する確率をとすると次のことが成り立つ。

またの確率分布は次の表のようになる。

確率変数の値がとなる確率をと表し、以上以下の値を取る確率をと表す。


例1)
のどれかが当たる総数のくじを考える。

このくじから本を引くときの賞金額を円とし、賞のとき賞のときである。がどのような確率で当たるかは偶然によって決まり、その確率は下記表のようになる。


例2)
赤玉個と白玉個が入っている袋から個の玉を同時に取り出すとき、出る赤玉の個数の確率分布を求める。

解)
の取りうる値はである。

よっての確率分布は下記表となる。

確率変数の平均
  • 平均、期待値 ( expectation )

一般に確率変数の確率分布が下記表のように与えられたとき

を確率変数の平均、または期待値といいで表す。


  • 確率変数の次式の平均

が定数でのとき


例)
番号のついた玉がそれぞれ入った袋から玉を個取り出す。玉の番号の枚数だけ円硬貨がもらえるゲームで、円払ってこのゲームをするときの利益円の平均を求めよ。

解)
まず、袋から玉を個取り出すときの番号の平均を求める。これを用いて利益の平均を求める。


より

利益円の平均は玉の番号の倍で、ゲームに円支払うので

ここから

確率変数の分散と標準偏差
  • 分散 ( variance ) 、標準偏差 ( standard deviation )

以前の復習高校数学 - データの分析を参考のこと。標準偏差を求める手順は

であることを復習した。これを用いて確率変数の分散と標準偏差を求める。


下記表のような確率分布をもつ確率変数を考える。

この確率変数の平均をとすると、偏差は、偏差平方は、分散は偏差平方の平均である。よって


であり、これをの分散といい、で表す。そして、分散の正の平方根

の標準偏差といい、で表す。

  • 分散と標準偏差の性質


上記表で与えられている確率変数の分散は、の平均とすると

  • 次式の分散と標準偏差

が定数でのとき


確率変数次式のときのの分散を考える。
とすると

であるからより

したがって

また

和の平均と分散
  • 確率変数の和の平均

確率変数における和の平均は確率変数の和の平均と等しい。

和の平均についてはつ以上の独立な確率変数についても同様のことがいえる。

  • 独立な確率変数

つの試行があって、に関する確率変数Xと、に関する確率変数の確率分布がそれぞれ以下の表のようであるとする。

試行が独立のとき、これらの試行は互いに他に影響しないので、の値を取る確率について

が成り立つ。このときは独立であるという。

  • 独立な確率変数の積の平均

  • 独立な確率変数の和の分散

積の平均、和の分散についてはつ以上の独立な確率変数についても同様のことがいえる。


下記表が成り立つ。

ここでの確率分布は下記表になる。

よっての平均は以下となる。


つの確率変数が独立のときの分散を計算すると

二項分布
  • 二項分布 ( binomial distribution )

一般に、回の試行で事象の起こる確率がで、起こらない確率がのとき、回の試行が独立ならば、となる確率、すなわちこの反復試行で事象回起こる確率は次のようになる。

確率変数の確率分布は以下の表のようになる。

この表の確率をすべて足し合わせたものは、二項定理の展開式の右辺

になっていることから、このような確率分布を二項分布といい、で表す。また、このとき確率変数は二項分布に従うという。

  • 二項分布の平均と標準偏差

が二項分布に従うとき、とすると


確率変数の確率分布が二項分布で

のとき、の平均と標準偏差を求める。
この二項分布は、回の試行で起こる確率がの事象と考えると、試行を独立に回繰り返すときにが起こる回数の確率分布である。
今、第回目の試行で「、 起こらないとき」の値を取る確率変数をとすると

であるからである。このとき、確率変数は互いに独立であるから、その和の平均と分散について、次のことがいえる。

ところでの確率分布は

だから、

である。したがって

である。また標準偏差はであることから、

である。

正規分布

連続的な確率変数
  • 連続的な確率変数

連続的な値を取る変数についても、そのとる値の範囲の確率が定まっているとき、を確率変数といい、確率変数の値をとる確率をと表す。

  • 確率密度関数、分布曲線

一般に確率変数が連続的な値をとり、その値がの範囲にある確率が図のように、曲線で囲まれた図形の面積で表されているとき、関数の確率密度関数といい、曲線を分布曲線という。
またのとりうる値の範囲がのとき、曲線で囲まれた図形の面積はとなる。

分布曲線

正規分布
  • 正規分布、標準正規分布

確率変数のとり得る値が実数全体で、の確率密度関数が

であるとき、このの確率分布を、平均の正規分布といい、で表す。このとき確率変数は正規分布に従うという。

ここでは無理数で、である。

確率変数が正規分布に従うとき、

とおくと、の確率分布は平均、標準偏差の正規分布となる。正規分布を標準正規分布といい、その確率密度関数は次のようになる。

標準正規分布は次の性質を持つ確率分布である。

のグラフは軸に対して対称な山形の曲線である。
の値がの範囲にある確率は、次の図のような斜線部分の面積となり、が大きくなるとに近づく。


標準正規分布 k=1


標準正規分布 k=2


標準正規分布 k=3

標準正規分布に従う確率変数に対して確率

のいろいろな値に対して計算して表にまとめたものを正規分布表という。

  • 正規分布による二項分布の近似

確率変数が二項分布に従うとき、が大きければ、

はほぼ標準正規分布に従うとしてよい。


二項分布に従う確率変数については


であり

とおくと、確率変数の平均は、標準偏差はとなり、に無関係である。
の取る値を適当な階級に分け、対応する確率を求めグラフを書くとき、の値を大きくし、分割の幅を細かくすると、グラフは標準正規分布の分布曲線に近くなる。

  • の確率

正規分布に従う確率変数について

である。すなわち、正規分布において、の値が平均からの範囲にある確率は以上、平均からの範囲にある確率は以上、平均からの範囲にある確率は以上である。

統計的な推測

母集団と標本
  • 全数調査、標本調査

調査の対象全体をもれなく調べる全数調査と、一部を抜き出して調べ、それから全体を推測しようとする標本調査がある。

  • 母集団、標本、抽出、標本の大きさ

標本調査では調べようとする調査の対象全体を母集団といい、調査のために母集団から抜き出された要素の全体を標本という。

標本を抜き出すことを抽出といい、標本に含まれる要素の個数を標本の大きさという。

  • 乱数賽、乱数表、無作為抽出、任意抽出

標本に偏りのでないように公平な抽出をする必要がある。そのため、乱数賽という特殊なサイコロや、乱数表を用いたり、コンピュータに発生させた乱数を利用したりする。このような標本の抜き出し方を無作為抽出、または任意抽出という。

母集団から個の標本を個無作為抽出した確率変数を、ある分布を持つ母集団からの大きさの無作為標本という。

  • 母平均と標本平均、復元抽出、非復元抽出

母集団から標本を抽出するとき、抽出のたびに要素をもとに戻し、改めて次を抽出する方法を復元抽出という。一方、もとに戻さないで続けて抽出する方法を非復元抽出という。

母集団から抽出された大きさnの無作為標本が復元抽出によって得られたものであれば、は独立である。

ただし、母集団の要素の数が極めて大きいときは非復元抽出でもが独立であるとして取り扱っても、差し支えないことが知られている。

これからは十分に大きな数の要素からなる母集団を考える。よってある母集団から抽出される大きさの無作為標本は、いずれも母集団の確率分布に従う個の独立な確率変数の組であるとみなしてよい。
このとき母集団についての平均、標準偏差をそれぞれ、母平均、母標準偏差という。


  • 標本平均の平均と標準偏差

母平均,母標準偏差の母集団から大きさnの無作為標本を抽出するとき、

を標本平均といい、で表す。
1) 標本平均の平均に等しい。
2) 標本平均の標準偏差に等しい。


平均標本の平均と標準偏差について考える。

について

だから、は、

である。また、は独立であるから、の分散

である。したがっての標準偏差

となる。


  • 標準平均の標準化

一般に、統計調査において、平均,標準偏差の母集団から、大きさの標本を無作為抽出するとき、標本平均について

である。

さらにが大きいとき、次のことが知られている。
母平均,母標準偏差の母集団から抽出された大きさの標本平均について、が大きいときの確率分布は、ほぼ標準正規分布とみなすことができる。

推定
  • 推定、区間推定

母集団の分布が持っている定数の値が未知のときに、与えられた標本からその値を推測する方法を推定という。

母集団の特性を示す定数を推定するときには、標本から得られた量にある幅を取って考えることが多い。これを区間推定という。

  • 母平均の推定

母平均に対する信頼度の信頼区間は、標本の大きさが大きいとき、標本平均の値を, 標本の標準偏差の値をとすると

また母平均に対する信頼度の信頼区間は


母平均、母標準偏差の母集団から無作為抽出した大きさの標本の標本平均については、が大きいとき

となる確率がである。これを変形し、

となるので、これが成り立つことが確率でいえることになる。ここで示される範囲を、に対する信頼度の信頼区間といい、以下で表す。

は変数だから、信頼区間はの値によって変化する。このときのすべての値について信頼区間がを含むとは限らないが、の確率で信頼区間はを含むといえる。

よって回の標本抽出において回ぐらいは区間

を含むということになる。これが信頼度の信頼区間の意味である。

そこで、母集団から大きさの標本を無作為抽出して、それから標本平均の値を求めれば、の値がわかっているときは母平均の値が推定できることになる。しかし実際には母標準偏差はわからない場合がほとんどである。しかしが大きいときにはを標本の標準偏差の値で置き換えても、大きな違いは生じないことが知られている。

これより上記区間推定が成り立つ。


  • 母比率の推定

ある性質について、母集団を構成する要素が、それを持つか持たないのどちらかのとき、その性質を持つ要素の割合をその母比率という。

その性質をもてば、もたなければの値をとる確率変数をとすると、その平均は


であるから確率変数の平均を推定すればよい。

参考サイト

高校数学 - 極限

久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第12回は極限です。

教科書では段階的に極限の考え方を学習するのに、離散的な数列の極限と連続的な関数の極限を分けています。復習は一気にしたいと思います。

しかし、よくよく数学とは一点に「収束」する、だとか巡り巡って「周期的な」振る舞いをする、とかが好きですよね。結局人間はそういったことから逃れられないのかもしれない…。ちょっと最近いろいろあって思うところがあったりします(謎)。

教材

  • 新編 数学III 平成27年度用

編者: 高橋陽一郎
出版社: [啓林館]
発行日: 2014-12-10
ISBN: ISBN978-4-402-05578-3
価格: C4341 ¥00000E

学習範囲 (目次より)
第3章 数列の極限
第1節 無限数列
1. 無限数列と極限
2. 無限等比数列
第2節 無限級数
1. 無限級数
2. 無限等比級数

第4章 関数の極限
第1節 分数関数と無理関数
1. 分数関数
2. 無理関数
3. 合成関数
4. 逆関数
第2節 関数の極限と連続性
1. 関数の極限
2. 指数関数・対数関数の極限
3. 三角関数の極限
4. 関数の連続性

数列の極限

無限数列

無限数列と極限
  • 無限数列

後が限りなく続く数列 を無限級数といい、

と表す。は数列の一般項である。

  • 数列の極限

無限数列の値を限りなく大きくしていくとき、一般項の値がどうなるかということを数列の極限という。を限りなく大きくすることをと表す。は無限大と読む。

  • 収束する、極限値

一般に無限数列においてとすると、の値が一定の値に限りなく近づくとき、数列に収束する、またはであるという。このことを記号で以下のように表す。

  • 発散する

数列には一定の値に収束しないものもあり、発散するという。
数列が正の無限大に限りなく大きくなる場合、数列は正の無限大に発散するといい、

数列が負の無限大に限りなく大きくなる場合、数列は負の無限大に発散するといい、

  • 振動する

発散する数列、すなわち収束しない数列のうち、一定の値に収束せず、正の無限大にも、負の無限大にも発散しない数列は、振動するという。

  • 無限数列の極限の分類

極限の性質
  • 収束する数列の極限値の性質

数列が収束し、のとき


数列について、のとき、は成り立つが、は収束する場合や、発散する場合がある。

  • 数列の極限と大小関係

数列の極限と大小関係について次の性質が成り立つ。





において、つねにであってもとは限らない。

無限等比数列
  • 無限等比数列

ある数に一定の数rを次々に掛けて得られる無限数列

を初項、公比の無限等比数列という。

  • の極限

一般に無限数列の極限はの値によって次のように分類される。

このことより以下がいえる。



とおくと、の整数のとき二項定理より

ここでとすると、である。よってのとき




とおくと、であるからより

よってのとき


のときはの値はが交互に繰り返される。
の符号が交互に変わる。よってのとき、は振動する。

無限級数

無限級数
  • 無限級数

一般に無限数列の各項を順に加えていった式

を無限級数といい、和の記号と表す。

  • 部分和



を無限級数の第項までの部分和という。

  • 収束する、和

無限級数で部分和の作る無限数列

が収束し、のとき、無限級数に収束するという。このとき極限値を無限級数の和といい、

または

と表す。

  • 発散する

部分和の数列が発散するとき、無限級数は発散するという。

無限等比級数
  • 無限等比級数

無限等比数列から作られる無限級数

を初項、公比の無限等比級数といい、と表す。

  • 無限等比級数の収束と発散

のとき、無限等比級数

は、


のとき、部分和はつねにで、の値に関係なくに収束するからのときについて考える。

無限等比級数の第項までの部分和をとすると
のとき

のとき
だから

よって無限等比級数は収束し、その和はである。

のとき
数列は発散するからも発散し、無限等比級数も発散する。

のとき

だからは発散し、無限等比級数も発散する。

循環小数

分数を小数で表すと有限小数となるか、または

のように同じ数字の並びが繰り返される循環小数になる、この時などのように表す。

循環小数は収束する無限等比級数として考えることで分数で表すことができる。

例)

右辺は公比0.01の無限等比数列であるから収束する。よって

関数の極限

分数関数と無理関数

分数関数
  • 分数関数

という。

分数式の定義域はを除く実数全体である。

  • 直角双曲線

関数のグラフは直角双曲線と呼ばれる曲線で、の符号により対象となる。原点に関して対称で、軸、軸が漸近線になっている。

  • 分数関数のグラフ

分数関数のグラフを軸方向に軸方向にだけ並行した直角双曲線で、漸近線はの2直線である。

の形に変形することでグラフを描くことができる。

無理関数
  • 無理式、無理関数

根号内に文字を含む式を無理式といい、の無理式で表される関数をの無理関数という。

無理関数の定義域は根号内が正またはになる実数全体である。

  • 無理関数のグラフ

無理関数のグラフは、軸が軸、頂点が点の放物線の上半分で、の符号により向きが異なる。

合成関数
  • 合成関数

一般につの関数について、の値域がの定義域に含まれるとき、を対応される関数と考えることができる。この関数の合成関数といい、と表す。すなわち

逆関数
  • 逆関数

一般に関数に対して、その逆の対応が関数になっているとき、この関数をの逆関数という。

と書くことがある。

逆関数を求めるにはについて解き、を入れ替える。

関数の極限と連続性

関数の極限
  • 極限値

関数においてが定義域の中で以外の値を取りながら、に限りなく近づくとき、の値が一定の値に限りなく近づくならば、に近づくときのの極限値はである、といい、

または

と表す。

  • 極限値の性質

のとき

関数で定義されていないときでも、が存在する場合がある。

  • 極限値の発散

関数において、のときの値が限りなく大きくなる場合、は正の無限大に発散するといい、

または

と表す。

また関数において、が負で、その絶対値が限りなく大きくなる場合、は負の無限大に発散するといい、

または

と表す。

片側からの極限

連続でない点における関数の極限を考えるとき、の近づき方を制限することがある。

のように表す。とくにのときはをそれぞれのように書く。

一般に関数について次が成り立つ。

x→∞、x→-∞の極限

の値が限りなく大きくなることをと表す。またの値が負でその絶対値が限りなく大きくなることをと表す。このような場合にも関数の極限、を考える事がある。

極限値をもつ条件

ある関数が定数を伴い与えられ、極限値を持つ定数を求める問題がある。このときは数学IIの微分積分にあった以下の式にて解決する。

指数関数・対数関数の極限

グラフと対比することで下記となる。

指数関数

のとき

指数関数の極限値1


のとき

指数関数の極限値2

対数関数

のとき

対数関数の極限1


のとき

enter image description here

三角関数の極限

の値が限りなく大きくなるとき、関数の値はの間のすべての値を繰り返してとり、一定の値には近づかない。したがっては存在しない。

関数についてもは存在しない。また

となり、は存在しない。

  • 関数の極限と大小関係の性質

関数の極限と大小関係について次の性質が成り立つ。




をはさみうちの原理という。


  • の極限


であるから、のとき

となる。ここで

だから

(sin x)/x

のとき、として、半径、中心角の扇形をつくり、点における円の接線が直線と交わる点をとする。このとき面積について

よって

だから

これより

ここで

関数の連続性
  • 連続、不連続

一般に関数において

が成り立つとき、という。

が存在しないときや、存在してもであるとき、この関数はで連続ではない。このときという。

とは以下のことを指す。

に等しい

  • ガウス記号

を超えない最大の整数をと書き、をガウス記号という。負の値のときに注意。

  • 区間

の値の範囲を区間という。

  • 区間で連続

関数が、ある区間に属するすべての値で連続であるとき、関数はその区間で連続であるという。

  • 区間で連続な関数

ある区間で連続な関数について、次の関数も同じ区間で連続である。

  • 連続関数の性質

で連続で、が異符号ならば、との間にとなるが少なくともつ存在する。

  • 中間値の定理

で、のとき、の間の値に対して

となるが少なくともつ存在する。

2017年2月26日日曜日

高校数学 - 微分・積分

久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第11回は数学IIの微分・積分です。

なお教科書に、極限値の不定形の話題がなかったので補足しました。また積の微分公式は数IIIに譲ります。

微分・積分の基本的な概念をわかりやすく吸収できるいい単元です。わたしはわりと好きでした。ああでも、このさきに何があるのかつきよみは知る由もなかった… 大学とかで勉強する解析学って一体どうゆうことだよ、なにそれおいしいの? わけわかんないんですよ、ほんとに。結局当時は公式覚えて、まあ使えるところで使うって感じで乗り切り感がすごかったです。

とかいってたらさーばるちゃんに、すっごーい! とか言われそう… いや、解析学はすごいんだけどね、私は中身わかってないんだよね… orz
だからこその復習です!

教材

  • 新編 数学II 平成26年度用

編者: 高橋陽一郎
出版社: [啓林館]
発行日: 2013-12-10
ISBN: ISBN978-4-402-04563-0
価格: C4341 ¥00000E

学習範囲 (目次より)
第5章 微分と積分
第1節 微分係数と導関数
1. 平均変化率と微分係数
2. 導関数
3. 接線の方程式
第2節 導関数の応用
1. 関数の値の増加・減少
2. 方程式・不等式への応用
第3節 積分
1. 不定積分
2. 定積分
3. 面積と定積分

微分と積分

微分係数と導関数

平均変化率と微分係数
  • 平均変化率 ( mean rate of change )

一般に関数において、の値がからまで変わるとき、の値の変化に対するの値の変化の割合を、の値がからまで変わるときのの平均変化率という。

  • 極限値 ( limit )

関数においてと異なる値を取りながら限りなくに近づくとき、が一定の値に限りなく近づくならば、に近づくときのの極限値といい、下記のように書く。

  • 極限値の性質

とし、を定数とすると



  • 不定形 ( limit of indeterminate forms )

において、のとき、これを不定形といい、便宜的にと書くことがある。がともに整式の場合、分母・分子を因数分解し、で約分することにより求めることができる。

  • 微分係数 ( differential coefficient )

一般にの値がからまで変わるときの関数の平均変化率で、でない値を取りながら、に限りなく近づくとき、この平均変化率がある決まった値に近づくならば、その極限値を関数における微分係数 または 変化率といい、で表す。微分係数は下記のように書く。

導関数
  • 導関数 ( derivative, a derivative function )

一般に関数においての値に微分係数を対応させる関数を考え、これをの導関数といい、下記のように書く。

導関数の式においての値の変化の増分といい、の値の変化の増分という。

導関数は下記のようにも表される。

の関数からその導関数を求めることを、関数について微分する、あるいは単に微分するという。

  • の導関数

  • 導関数の計算

一般に下記等式が成り立つ。

  • 微分係数の計算

関数の導関数がわかるとにおけるの微分係数を代入して微分係数を求められる。

接線の方程式
  • 接線 ( tangent )・接点 ( point of tangency )

関数における微分係数はこの関数のグラフ上の点における接線の傾きである。


関数のグラフのことを曲線という。曲線上に、座標がそれぞれとなるをとるとの値がからまで変わるときのの平均変化率

は直線の傾きを表す。
ここでに限りなく近づけると、点は曲線上を動きながら点に近づき、直線はある直線に近づく。
この直線のことを点における曲線の接線といい、点をこの接線の接点という。
また直線の傾きはに近づけるとに近づくので、接線の傾きはである。


  • 接線の方程式

曲線上の点における接線の方程式は

における法線の方程式は

導関数の応用

関数の値の増加・減少
  • 関数の値の増加・減少

関数の値の増減は導関数を用いて次のように判別できる。

  • 増減表 ( first derivative test table )

例)
関数の値の増減を調べる。

導関数

となるの値を求め、の符号の変化を調べての値の増減を表にする。

これよりの値は

注) 上記関数はの範囲で増加しているが、も含めての範囲で増加しているという。減少する範囲についても同様。


  • 極大 ( maximal, local maximum )、極小 ( minimal, local minimum )、極値 ( extremum )

関数の値がを境目として増加から減少に変わるとき、で極大になるといい、そのを極大値という。
すなわち、fの符号が正から負に変わるとき、極大になる。

関数の値がを境目として減少から増加に変わるとき、で極小になるといい、そのを極小値という。
すなわち、の符号が負から正に変わるとき、極小になる。

極大値と極小値を合わせて極値という。


  • 最大 ( maximum ), 最小 ( minimum )

ある範囲における関数の最大値、最小値を調べるには、範囲内の極値と区間の両端での値を求め、比較する。

方程式・不等式への応用
  • 方程式の実数解の個数

1) 方程式の実数解は、のグラフと軸の共有点の座標である。
2) 方程式の実数解は、のグラフと直線の共有点の座標である。

のグラフを増減表を用いて書き、x軸あるいは直線との交点を求めることで方程式の実数解の個数を求めることができる。


  • 不等式の証明

の証明はとおき、の増減を調べ、常にが成り立つ、すなわちの最小値が正であることを示す。

積分

不定積分
  • 原始関数 ( antiderivative, primitive function )

関数に対してを導関数に持つ関数、すなわち

であるような関数の原始関数という。

  • 不定積分 ( antiderivative, primitive integral or indefinite integral )

関数の原始関数のつをとすると、の任意の原始関数は

とかける。これをの不定積分といい

で表す。

の不定積分を求めることをを積分するといい、定数を積分定数という。

のとき

と表記する。

  • の不定積分

または自然数のとき

  • 定数倍、和、差の不定積分
定積分
  • 定積分 ( definite integral )

一般に関数の原始関数のつをとすると、は原始関数の選び方に関係なく決まる。このからまでの定積分といい、

と表す。をこの定積分の下端、を上端という。


  • 定積分の性質



  • 微分と定積分

が定数のとき


一般にの原始関数のとき

だから、

面積と定積分
  • 面積と定積分

曲線軸で囲まれた図形の面積は
において、のとき

において、のとき


の範囲のの値に対して軸で囲まれた部分の面積をとする。
のとき、の値がからまで変化したときのの変化量は、図の色部分の面積になる。

面積と定積分

このとき、この部分の面積と横の長さが、縦の長さがである長方形の面積が等しくなるようの間に取ると

より

ここでとするとであるからとなり

すなわち

このことはのときも成り立つ。よっての原始関数である。したがってであるから

以上よりの範囲でのとき、曲線軸および直線とで囲まれた部分の面積は、定積分

と等しい。


  • 曲線間の面積

曲線で囲まれた図形の面積はにおいて、のとき


の範囲で、の場合、で挟まれた範囲の面積

つぎにでない場合を考える。曲線軸方向にkだけ移動すると

となる。ここでを十分大きく取るとの範囲でとできる。よって求める面積


参考サイト

2017年2月25日土曜日

高校数学 - 複素数平面

久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第10回は複素数平面です。

ようやく「らしい」単元です。電気系だと必須の知識。いえ、数学でもですけど。学習し始めは一体何やってるんだかよくわからなかったんですが、工学に応用する時点でようやく意味がわかってくるんですよね。数学、おくがふかーい。微妙にフレンズ要素…

しかし、かなり忘れていました。っていうか、もともと理解していなかったんじゃね? ってレベルでしたよ、とほほ。この先わからなくなったらここまで戻ろう!

教材

  • 新編 数学III 平成27年度用

編者: 高橋陽一郎
出版社: [啓林館]
発行日: 2014-12-10
ISBN: ISBN978-4-402-05578-3
価格: C4341 ¥00000E

学習範囲 (目次より)
第2章 複素数平面
第1節 複素数平面
1. 複素数平面
2. 複素数の極形式
3. ド・モアブルの定理
第2節 平面図形と複素数
1. 平面図形と複素数

複素数平面

複素数平面

複素数平面
複素数
  • 実部 ( real part )、虚部 ( imaginary part ) 、虚数 ( imaginary number ) 、純虚数 ( pure imaginary number )、複素数 ( complex number )

複素数つの実数を用いて

と表したとき、実数をそれぞれ複素数の実部、虚部という。また実数でない複素数を虚数、特に実部がで虚部がでない複素数を純虚数という。

複素数平面
  • 複素数平面 ( complex plane, z-plane )、ガウス平面 ( Gauss plane )、アルガン図 ( Argand diagram )、実軸 ( real axis )、虚軸 ( imaginary axis )

複素数は、つの実数の組で定まるので複素数を座標平面上の点で表すことができる。

複素数平面

複素数を座標平面上の点で表したとき、この平面を複素数平面、またはガウス平面という。

  • 共役な複素数 (共役=共軛=きょうやく, complex conjugate )

複素数に対してと共役な複素数といい、で表す。

複素数の和と差・実数倍
  • 複素数の和 ( addition )

つの複素数をとすると

となる。これより、原点について点を取ると四角形は平行四辺形になる。これにより、から点の位置が求められる。

  • 複素数の差 ( subtraction )


であるから差の和として表される。とすると、点は原点に関してと対象な点であるから、点について四角形は平行四辺形になる。

  • 複素数の実数倍

一般にのとき、複素数の実数倍は以下のようになる。

のとき、点は点を原点を中心とする倍の拡大、縮小で移した点である。
のとき、点は点を原点に他関して対象に移した点である。
またはのとき、点は原点になる。

複素数の絶対値
  • 複素数の絶対値 ( absolute value, modulus, magnitude )

複素数平面上で原点と点との距離を、複素数の絶対値といい、で表す。
の絶対値は次のようになる。

  • 複素数の絶対値の性質

のとき、だから

よって以下が成り立つ。

またなので以下が成り立つ。

複素数の極形式
  • 極形式 ( polar form )、偏角 ( argument )

複素数平面上で、でない複素数を表す点をとする。が実軸の正の向きとなす角をとすると、

極形式

したがって複素数は次のように書くことができる。

これを複素数の極形式という。ここでの絶対値に等しい。
すなわちである。の偏角といいで表す。

積の極形式
  • 積の極形式 ( multiplication )

のとき、

偏角についてはの整数倍の差を除き一致していることを示している。


でないつの複素数が極形式

で表されるとき

ここで三角関数の加法定理より

であるから

この式はの極形式で以下を意味する。
絶対値は、すなわちの絶対値の積
偏角は、すなわちの偏角の和

またであることから上記を求めることができる。


参考として複素数の積を参照のこと。ただし偏角に関する記述に誤りあり。とするところをとしている。

  • 複素数の積の図形的意味

とするとき、

の表す点は、点を原点の周りにだけ回転し、さらに原点からの距離を倍した点である。

参考として複素数の積を参照のこと。

商の極形式 ( division )
  • 商の極形式

のとき


積と同様に算出できる。


参考として複素数の商を参照のこと。

ド・モアブルの定理
ド・モアブルの定理 ( De Moivre’s theorem )

が整数のとき


参考サイトド・モアブルの定理 - 理工系数学のアラカルト -より。

数学的帰納法により下記段階を経て証明する。

1) のとき
2) のとき
3) のとき

1) のとき
の場合、より成立する。
の場合、与式が成立すると仮定すると

ここで三角関数の加法定理により

すなわちに対しても与式は成立する。以上からのとき、与式は成立する。

2) のとき
与式の左辺は

であり、与式の右辺は

となり、与式は成立する。

3) のとき
与式を

ここでが負の整数であることからは正の整数であり、1)の結果から分母

が成り立つ。これらから

が成り立つ。右辺を変形し

ゆえに

より

となり、負の整数についても与式は成立する。


zn=αの解

参考サイトド・モアブルの定理と複素数の乗根 (「複素数平面」お気楽学習ノート) | OpenBookより。

補助問題)
は整数として乗根をすべて求めよ。

解)
A. を求める。
を複素数とし極形式で表現すると

であり、ド・モアブルの定理より

の両辺の絶対値と偏角を比較し、
ここでより
またより

ここでとなるだから

よってよりの解は

である。

ここで、解は極形式で

であり、複素平面上で半径の円上で偏角の点である。同様に解は極形式で

である。
z^3=1の解


B. を求める。

を複素数とし極形式で表現すると

であり、

である。ここでより、またド・モアブルの定理より

を極形式で表現し

これを満たすは三角関数の角を比較することにより

となりよりの解はとしたとき


問題)
は整数として複素数乗根をすべて求めよ。

解)
複素数とするとド・モアブルの定理により

複素数を極形式で表現してとし、

となる。両辺の絶対値と偏角を比較すると

これより

また

となる。ここでとなるように考えると

であり、

以上をまとめると、任意の複素数乗根は、

平面図形と複素数

平面図形と複素数
平行移動

複素数に対して複素数を加えたとき、複素平面上で

の表す点は、点だけ平行移動した点となる。

複素数の平行移動

2点間の距離

複素数平面上で2点間の距離は

2つの複素数間の距離

内分点・外分点

複素数平面上で2点に対して線分

とくにを結ぶ線分の中点は

である。

複素数の内分点


複素数平面上で2点に対して、線分に内分する点をとする。
をそれぞれだけ平行移動すると、は原点に移り、は点は点に移る。このときは一直線上にあり、は点の原点からの距離を倍した点であるから

よって

外分点も同様に求める事ができる。

辺の比と角の大きさ

を頂点とするにおいて

また


辺の比

を頂点とするで、を原点に移す平行移動で点がそれぞれ点に移ったとすると

これよりにおいて

角の大きさ

また辺が辺と作る角


等式の表す図形
  • 垂直二等分線

複素数平面上の異なるについて

複素数平面上の異なるについて

  • アポロニウスの円

をみたす定数とするとき

参考サイト