2017年2月18日土曜日

高校数学 - ベクトル

久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第3回はベクトルです。

ベクトルの定義、次元の拡張など未来に備えた卵のような構成です。またベクトル方程式では今まで直交座標系で関数を用いて表現していたことをベクトルでも表現でき、それらは等価であることを学んでいます。この先の学習が楽しみです。ところでベクトルの範囲のLatexのタイプ量、多いですね。疲れます(笑)。


2/20 学習完了です


教材

  • 新編 数学B 平成26年度用

編者: 高橋陽一郎
出版社: 啓林館
発行日: 2013-12-10
ISBN: ISBN978-4-402-04576-6
価格: C4341 ¥00000E

学習範囲 (目次より)
第2章 平面上のベクトル
第1節 ベクトルとその演算
1. ベクトル
2. ベクトルの和・差・実数倍
3. ベクトルの成分
4. ベクトルの内積

第2節 ベクトルと図形
1. 位置ベクトル
2. 位置ベクトルと図形
3. ベクトル方程式

第3章 空間座標とベクトル
第1節 空間のベクトル
1. 空間の点の座標
2. 空間のベクトル
3. 空間のベクトルの内積
4. 位置ベクトル

平面上のベクトル

ベクトルとその演算

ベクトル
  • 平行移動
    図形を一定の方向に向きを変えずにずらして、その図形を移すことを平行移動という。

  • 始点
    線分の始まりの点。

  • 終点
    線分の終わりの点。

  • 有向線分
    向きを考えた線分。

  • ベクトル
    向きと大きさだけを考えてその位置は問題にしないとき、これをベクトルという。
    有向線分ABであらわされたベクトルという。

  • 等しい
    2つのベクトルが等しいとは、の向きが同じで、大きさが等しいことである。これを以下の式で表す。

    平行四辺形ABCDがあるとき、である。

  • ベクトルの大きさ
    ベクトルの大きさを以下の式で表す。

    のとき、は線分の長さであり、ともかく。

  • 単位ベクトル
    大きさが1であるベクトルを単位ベクトルという。

ベクトルの和・差・実数倍
ベクトルの和

  • 2つのベクトルが与えられたとき、点Aを定め、
    となる点
    となる点
    をとると、であらわされるベクトルが決まる。これをの和といい、と書く。すなわち以下の関係が成り立つ。

  • 可換則

  • 零ベクトル
    は始点と終点が一致する場合にもベクトルと考え、その大きさは0とし、これを零ベクトルといい、で表す。零ベクトルの向きはどのように考えてもよいものとする。

ベクトルの差

  • 2つのベクトルに対して、点を定め、であわらされるベクトルをの差といい、

    とかく。また以下の関係が成り立つ。

  • 逆ベクトル
    でないベクトルに対して、と向きが反対で大きさが等しいベクトルをの逆ベクトルといういい、とかく。
    逆ベクトルについては以下が成り立つ。

ベクトルの実数倍
  • ベクトルの実数倍
    一般のでないベクトルと正の実数に対してベクトルの実数倍を次のように定める。

    と向きが同じで、大きさが倍のベクトル
    と向きが反対で、大きさが倍のベクトル

    の時は、またの場合は任意の実数に対してと定める。
    特にである。また、となる。

  • ベクトルの和および実数倍の計算
    を実数とするとき以下の法則が成り立つ。

ベクトルの平行
  • 平行
    でない2つのベクトルが同じ向きか、または反対向きの時、
    は平行であるといい、下記で表す。

    のとき、となる実数kがある。
ベクトルの分解

ある一つのベクトルをほかの2つのベクトルで表現する。


ここで、に対して一通りに定まる実数である。

でなく平行でない2つのベクトルに対して次のことが成り立つ。


平面上にでなく平行でない2つのベクトルがあるとき、1点を決めて、となるように点をとる。
この平面上のベクトルに対し、となる点をとり、を通って直線に平行な直線が、直線と交わる点をそれぞれとすると、

である。はそれぞれ直線上にあるから

の形でかける。よってを使って次のように表される。

ここでに対して一通りに定まる実数である。このことからでなく平行でない2つのベクトルに対して次のことが成り立つ。

ベクトルの成分
  • 基本ベクトル
    平面上のベクトルを次の形

    で表すとき、このを単位ベクトルという。

  • 成分
    の成分といい、成分、成分という。
    はその成分によって決まるから次のように表す。

    なお、基本ベクトル、零ベクトルは成分で表すと以下となる。

  • 等価
    2つのベクトルが等しくなるのは成分、成分がそれぞれ等しい場合であるので、

    である。

  • ベクトルの大きさ
    のとき


の大きさはとあわらした時の線分の長さと一致する。三平方の定理より、の大きさを求めることができる。

和・差・実数倍の成分


2点に対して

であるから、

ベクトルの内積
  • なす角
    でない2つのベクトルに対してとするとき、の大きさによって決まる。これをのなす角という。ただしとする。

  • 内積
    ベクトルのなす角がのとき以下を内積と定義する。

    またはのときはとする。
    のときはなす角で、であるから

  • 垂直
    のなす角がのときは垂直であるといい、で表す。より下記が成り立つ。

内積と成分
  • 内積と成分

平面上の2つのベクトルについて内積を成分で表す。
としてとする。に余弦定理を用いると

であり、のときも成り立つ。ここで

であるから、(1)は次のようになる。

すなわち

であり、ここでだから(2)の右辺を成分であらわすと

である。

  • 二つのベクトルのなす角の計算

でない2つのベクトルのなす角とすると内積の定義から次が成り立つ。

内積と計算法則


また上記より以下が導かれる。

ベクトルと図形

位置ベクトル
  • 基点、位置ベクトル

平面上で 点を固定しておくと、この平面上の点の位置はとなるベクトルで決まる。このの事をを基点とする点のいちベクトルといい、で表す。

また2点が与えられた時、以下が成り立つ。

分点の位置ベクトル
  • 線分に内分する点

2点に対して、線分に内分する点の位置ベクトルは

特に線分の中点の位置ベクトルは


線分に内分する点を考える。

だから

よって

  • 線分に外分する点

位置ベクトルと図形
三角形の重心

三角形において、頂点から対辺の中点への線分の交点を重心という。


三点を頂点とするにおいて、辺の中点をとする。に内分する点をとする。点の中点であることから

は線分に内分するので

一直線上にある3点

が直線上にあるとなる実数がある。

ベクトル方程式
ベクトルに平行な直線

定点を通り、でないベクトルに平行な直線をとする。点が直線上にあるための条件は、

となる実数が存在することである。

であるから、下記のように表現できる。

これを直線のベクトル方程式といい、を方向ベクトル、を媒介変数という。

2点を通る直線

を通る直線のベクトル方程式は、下記で表される。


先の方向ベクトルとしたものであるから下記のように導出される。


またとすると次のように表すこともできる。

ベクトルに垂直な直線

を通りでないベクトルに垂直な直線をとするとき、以下で表され、を直線の法線ベクトルという。

また点の座標を、点の座標をとすると成分表示で以下となる。


が直線上にあるための条件はと一致する場合も考えて

であるから、内積を用いて表現すると

であるから

円のベクトル方程式

円は点が点を中心とする半径の距離にある点の集合であることから、

であり、これを位置ベクトルで表すと

となる。また内積を使って表すと、、また、だから

(1), (2)ともに円のベクトル方程式である。

円の接線のベクトル方程式

定点を中心とする半径の円周上の点における円の接線のベクトル方程式は以下で表される。

円の接線


上の点をとすると

だからより

したがって、

より

空間座標とベクトル

空間のベクトル

空間の点の座標
  • 座標平面
  • 一つの平面を取り、その上に直行する座標軸軸、軸をとる。次にをとおり、この平面に垂直な直線を引き、これを軸とする。このとき3つの軸はどの2つに対しても互いに垂直である。空間座標

軸と軸で定まる平面を平面
軸と軸で定まる平面を平面
軸と軸で定まる平面を平面

といい、これらを座標平面という。

  • 座標

空間に点があるとき、を通って各座標平面に平行な3つの平面を作り、それらが軸、軸、軸と交わる点のそれぞれの軸上での座標をとする。このとき3つの実数の組

を点の座標といい、座標、座標、座標という。
の座標がであるときと表す。

空間のベクトル
  • 平行六面体

2つづつ平行な3組の平面で囲まれた立体を平行六面体という。
空間のベクトルについても平面上のベクトルと同じように、和、差、実数倍を決めると平面のときと同じ計算法則が成り立つ。

  • 基本ベクトル、成分、成分、成分、成分

空間のベクトルは3つの実数の組を用いて表すことができる。

を原点とする座標軸を考え、軸、軸、軸上の正の向きの単位ベクトルを基本ベクトルといい、それぞれとする。
与えられたベクトルに対してとなる点の座標をとすると、

である。よってベクトルは以下のように表せる。

このに対してただ一通りに定まる実数である。この式の3方向へのの分解という。
また、の成分といい、成分、成分、成分という。は成分を用いて次のように表される。

2つのベクトルが等しくなるのは、その対応する成分が、それぞれ等しくなる場合である。

ベクトルの大きさは、であり、線分の長さに等しいので、

である。

  • 空間ベクトルの和、差、実数倍の成分

  • 空間ベクトルの平行

でない2つのベクトルが平行になる条件は、平面の場合と同様に

ことである。

  • の成分と大きさ

2点に対して

空間のベクトルの内積
  • 内積の定義

空間においてでない2つのベクトルの内積を次の式で定義する。

  • 内積と成分

のとき

  • 2つのベクトルのなす角

でない2つのベクトルのなす角をとして以下が成り立つ。

位置ベクトル
  • 位置ベクトルの定義

空間において基点を定めておくと、この空間での点の位置はとなるベクトルで決まる。
このを点を基点とする点の位置ベクトルといい、点で表す。

2点に対して次のことが成り立つ。

線分

3点に対するの重心の位置ベクトルは

3点,,が一直線上にある条件は実数を用いて

とかける。

平面上の点の位置ベクトル

一直線上にない3点を通る平面上の任意の点をとしてを使って以下のように表される。

このに対してただ一通りに定まる実数である。

球面の方程式

空間上の点についてベクトルの大きさとは点から点までの距離である。したがってとして

を満たす点はある点を中心とする半径の球面上にある。
として成分で表すと

ここでよりであるから

参考サイト

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